ウクライナ憲法
前文
第1章 総則
第2章 国民の権利、自由及び義務
第3章 選挙、国民投票
第4章 ウクライナ最高議会
第5章 ウクライナ大統領
第6章 ウクライナ閣僚会議、その他行政組織
第7章 検察庁
第8章 司法
第9章 ウクライナ領土
第10章 クリミア自治共和国
第11章 地方自治
第12章 ウクライナ憲法裁判所
第13章 ウクライナ憲法改正手順
第14章 雑則
第15章 経過規定
前文
ウクライナ最高議会はウクライナ国民を構成するウクライナの全民族の代表であり、国民の自由意志を表す。これはウクライナ建国に至る長い歴史を礎とし、またウクライナ共和国及びその国民による自決に基づく。これは基本的人権及び自由を保証し、又人間らしい生活が送れることを約束する。これはウクライナの国民に強い絆を築くものであり、民主的かつ社会的、法治的国家であり続けるよう努める。また我々は神及び過去・現在・未来に生きる人々、そして自己に対して責任を負う。この憲法は1991年8月24日のウクライナ独立宣言に基づき、1991年12月1日の国民投票により定められた。この憲法はウクライナの基本法であることをここに宣言する。
第1章 総則
第1条 ウクライナは主権国家であり、独立した民主的かつ社会的・法治的国家である。
第2条 ウクライナの主権はウクライナの領土全てに及ぶ。ウクライナは中央集権国家である。現在の国境を含むウクライナの領土は不可分にして不可侵である。
第3条 人間とその生活の健康・名誉・尊厳・不可侵・安全にウクライナは最高の価値を置く。人権・自由、そしてそれらに対する保証は国家の本質であり、国家活動の中心である。
第4条 ウクライナの国籍は一つである。これを取得又は破棄する根拠は法に定める。
第5条 ウクライナは共和国である。国民は主権を有し、ウクライナの主権の唯一の典拠である。ウクライナの憲法を制定し改定する権利は国民だけが有し、何人たりともそれを奪うことはできない。何人たりとも主権を奪うことはできない。
第6条 ウクライナの主権は立法権・行政権・司法権に分立して行使される。立法権・行政権・司法権はこの憲法と、ウクライナで認可された法の範囲内でのみ行使される。
第7条 ウクライナにおける地方自治は認められており、保証される権利である。
第8条 ウクライナは法治国家である。ウクライナ憲法は国の最高法規であって、法及びその他条例はウクライナ憲法に基づいて採択され、効力を有す。ウクライナ憲法は直接的な社会規範である。憲法上の権利と個人の自由を守るためのウクライナ憲法を理由にした国民の訴えは、認められている。
第9条 締結された国際条約は、ウクライナ最高議会において承認されて、国内で効力を有す。ウクライナ憲法に反する国際条約の締結は、関連した条規を改正した後にのみ認められる。
第10条 ウクライナの公用語はウクライナ語である。国はウクライナ語がウクライナの主権の及ぶ全範囲で使用できること、及びウクライナ語の全体的な発展を約束する。ウクライナではロシア語やその他少数民族が各自の言語を使用し、保護していくことは認められている。国は国際言語の習得を奨励する。多言語が使用されることは憲法で認められており、法もこれを認める。
第11条 国は歴史意識・伝統及び文化においてウクライナが結束し発展することを目標とし、それはまた伝統文化においてや言語的かつ宗教的独自性を持つ全ての先住民族や少数民族が発展することをも目標とする。
第12条 ウクライナ以外に居住するウクライナ人も、国家的・文化的・言語的恩恵を享受できるようにする。
第13条 ウクライナ国土に含まれる土地、またそれに付随する鉱物資源・空気・水及びその他天然資源、領海内の天然資源かつ排他的経済水域はウクライナ人が所有権を有す。この所有権は、ウクライナ国民に代わりこの憲法で定める範囲内で、国家および地方自治体によって行使される。全ての国民は、法の範囲内において所有権を有す資源を利用する権利を有す。所有には責任が伴う。所有物を国民及び社会が不利になるように使用してはならない。国は国民の所有及び経済活動に関する権利、社会的経済活動を保護する責任がある。また所有に関する権利は法の下に平等である。
第14条 土地は国の特別な管理下にある、基本的な国の財産である。土地の所有権は認める。国民がその権利を法の範囲内で個人及び法人・国と取引することは認める。
第15条 ウクライナでの社会生活は、政治的・経済的イデオロギーの多様性の原則に基づく。国はいかなるイデオロギーをも強制しない。検閲は禁止する。国は、憲法と法によっていかなる政治活動の自由も保証する。
第16条 国土の環境を守り生態系を維持すること、チェルノブイリ事故による世界規模の災害を克服すること、ウクライナ人の血を絶やさないことは国の責任である。
第17条 主権及び領土の保護、経済及び情報の安全性の保護は国の最重要機能であり、国民に対する責任でもある。ウクライナの防衛、主権の保護及び不可分にして不可侵である領土の防衛はウクライナ軍に一任する。国の保安及び国境の防衛は、それぞれの軍組織及び法執行組織が行い、その組織及び活動は法によって定める。ウクライナ軍及びその他軍事集団は、国民の権利と自由を制限してはならず、また憲法を無視した行動は禁ず。国は、ウクライナ軍及びその他軍事集団に属するものとその家族を社会的に保護する責任がある。法に反する軍事行動は認めない。他国の軍隊の駐留は認めない。
第18条 ウクライナの外国における政治活動は、国際法に定められた原理と基準に従い、国際社会で平和で相互に有益な協力を維持することで、国益と治安を守ることを目的とする。
第19条 ウクライナの法的命令において、誰もが法に反する行動を強制されない。国家及び地方自治体・政治団体は、権限の範囲内かつ憲法及び法によって定められる方法だけで行動することを許される。
第20条 ウクライナの象徴は、ウクライナ国旗、ウクライナ国章及びウクライナ国歌である。国旗は、青と黄色の等面積の横縞の旗である。ウクライナ国章は、ウクライナ最高議会により採択された法により、ウクライナ大国章とザポリージアの紋章及び小国章からなると定められた。ウクライナの大国章には、ウォロジミール聖公の紋章(小国章)が含まれる。ウクライナ国歌は、ウクライナ最高議会により採択された法により、ムハイロ・ヴェルビツィキーの作曲した国歌と定められた。ウクライナの象徴の採択は、ウクライナ最高議会の憲法に定められた定数の3分の2によって採択された法により定められた。ウクライナの首都はキエフ市である。
第2章 国民の権利、自由及び義務
第21条 全ての人間は自由であり、その尊厳及び権利において平等である。人権及び自由は奪われることのない、神聖なものである。
第22条 この憲法が主張する人権及び自由は、不完全である。憲法に基づく権利及び自由は保証され、無くなることはない。既存の権利及び自由の内容及び範囲は、新しい法の採択によって、または有効である法の修正事項によって減らされることはない。
第23条 全ての人間は、他人の権利及び自由を侵害しない限り、自己の人格を自由に発展する権利を有し、自由で包括的な人格の発展に伴う社会に対する責任を有す。
第24条 国民は等しくの憲法に基づく権利と自由を有し、法の下に平等である。人種、肌の色、政治的・宗教的又はその他信条、性別、民族、門地、財産、居住地、言語及びその他特徴に優劣はない。機会均等、雇用及び報酬、公的及び政治的、文化的活動、教育、職業訓練において男女の権利は平等である。これには女性の労働及び健康を保護する法案、年金特権、女性が仕事と育児を両立できる環境、出産及び育児への物的又は精神的援助、出産及び育児休暇といった女性への有給休暇の提供及び他の特権を含む。
第25条 ウクライナ国民は決して国籍及び国籍を変える権利を奪われない。ウクライナ国民は決してウクライナ国外追放及び外国に引き渡しされない。ウクライナは、国外いる国民の保護を保証する。
第26条 ウクライナの憲法、法又は国際条約による例外を除き、ウクライナにいる外国人及び市民権を有さない人は、ウクライナ国民同じ権利と自由を享受できるが、同時にウクライナ国民と同じ義務を負う。外国人及び市民権を有さない人は、法に従った手続きを踏むと、亡命者として保護される。
第27条 誰もが奪われることのない生きる権利を有す。何人も他人の生命を奪うことはできない。国は国民の生命を守る責任を有す。誰もがその生命及び健康を守る権利を有し、他人の生命及び健康を違法な侵害から守る権利を有す。
第28条 誰もがその尊厳を尊重される。何人もその尊厳を冒涜する拷問、残酷かつ非人間的で名誉を傷つける処置又は刑罰の下に置かれない。何人もその自由意志の下での同意なくして、医学的又は科学的及びその他実験に付されない。
第29条 誰もが自由及び個人の不可侵の権利を有す。裁判所の判決及び根拠、法に定められた手続きをなくして何人も逮捕又は拘束されない。緊急に犯罪を抑止する場合、法により人を一時的に拘束できるが、その理由を72時間以内に裁判所で証明しなくてはならない。もしその人が拘束される根拠が立証されなければ、拘束の瞬間から72時間以内に迅速に解放されなければならない。誰もが逮捕又は拘束に対する理由の通知なくして逮捕又は拘束されない権利を有し、拘束の瞬間から自己の弁護及び弁護士の法的支援を受ける権利を有す。拘束されている者は、裁判所でいつでもその拘束に関して諮問する権利を有す。逮捕又は拘束されている者の親類は、その逮捕又は拘束を早急に知らされなければならない。
第30条 何人もその居住地に対する不可侵権を有す。居住地又はその他所有地への侵入及び検査又は捜索は、裁判所の判決による場合を除き、禁止されている。人の生命及び財産の保護、犯罪者の追跡に関連した緊急の場合、その他法に従った手順を踏んだ場合、人の居住地または他の所有地への侵入及び調査または捜索は認める。
第31条 誰もが電子メール、電話での会話、電報及びその他通信でのプライバシーを保証されている。犯罪の抑止又は刑事事件の捜査で事実を明らかにするために、その他手段では情報を得られない場合で、裁判所が法に基づいて認めた場合はこの限りではない。
第32条 ウクライナ憲法に定められた場合を除き、何人もその個人及び家庭生活に対する干渉を受けない。法に定められた場合又は国の安全・経済福祉及び人権に関わる場合を除き、個人の同意なしにその秘密情報の収集、保管、使用及び普及は禁ずる。全ての国民は国、地方自治体、機関及び組織において、法により保護されている国又はその他の秘密情報ではない限り、その個人の情報を調べることができる。誰もが自身及びその家族に対する誤った情報を訂正する権利、情報の削除を要請する権利、そして誤った情報の収集、保管、使用及び普及によって負う損害を補償される権利は法により保護されている。
第33条 法に定められた制限を除き、ウクライナ領土に合法的にいる者は、移動の自由、居住地選択の自由、ウクライナ領土から出る自由を有す。ウクライナ国民は、如何なる時にもウクライナ領土に戻る権利を奪われない。
第34条 誰もが思想の自由、言論の自由、意見及び信条の表現の自由を有す。誰もが口伝、書面及びその他個人が選択した方法で、情報を自由に収集、保管、使用及び普及することができる。国の安全、領土の不可分性又は社会秩序に関して、混乱及び犯罪の防止、国民の健康及び個人の名声や権利の保護、機密情報の公表の防止、司法の権威及び公平さを維持するために、これらの権利の使用は制限されることもある。
第35条 誰もが信条の自由及び信教の自由を有す。この権利は、どの宗教を信仰するかの自由、宗教儀式を単独又は集団で行う自由、宗教活動の自由を含む。社会秩序、個人の健康及び道徳の保護又は個人の自由及び権利の保護に関して、この権利は法により制限されうる。ウクライナの教会及び宗教団体は国及び学校と分離されている。国はいかなる宗教をも強制しない。何人も宗教的信条を理由に国に対する義務の免除又は法実行の拒否をできない。軍務への従事がその宗教的信条に背く場合、この義務は他の非軍事的な公務に差し替えられる。
第36条 ウクライナ国民は、その権利及び自由の行使かつ保護、政治的、経済的、社会的、文化的又はその他利益を享受するために、政党及び公共団体を結社する自由を有す。これは国家の安全保障、公的秩序、国民の健康又は他人の権利及び自由の保護に関する場合、法によって制限される。ウクライナの政党は、国民の政治意識を構成及び表明し、選挙への参加を促進する。ウクライナ国民だけがウクライナの政党の構成員となれる。政党の構成員資格の制限は、この憲法及び法にのみ定める。国民は、その賃金労働、社会経済及び利益を保護するために労働組合に属す権利を有す。労働組合は、国民の職業行動に基づく共通の利益により結ばれた公共団体である。労働組合は事前の許可なしに、構成員の自由選択に基づき構成される。全ての労働組合は平等の権利を有す。労働組合の構成員資格の制限は、この憲法及びウクライナの法にのみ定める。何人もどの組織に加盟するか否かを強制されず、政党又は公共団体に属するか否かで、その人の権利は制限されない。全ての結社は法の下に平等である。
第37条 活動目的又は行動が、ウクライナの独立性の破壊、暴力による憲法秩序の改変、主権の冒涜及び領土の不可分性の冒涜、安全保障の阻害、権力の不法奪取、戦争及び暴力に訴える宣伝、少数民族・人種・宗教間の敵意の扇動、人権及び自由、人々の健康の侵害に向けられた場合、政党及び公共団体の設立及び活動を禁ず。政党及び公共団体は武力組織を有さない。政党の組織構造の設立及び活動には、行政及び司法組織、地方行政組織、軍事組織、国営企業、教育機関、その他国営団体及び組織を含むことはできない。市民団体の活動における禁止事項は法的手段をもってのみ定める。
第38条 国民は、国民投票及び住民投票で自由に選挙又は被選挙することで、国政及び地方行政に参加することができる。国民は等しく国及び地方自治体のサービスを受ける権利を有す。
第39条 国民は武器を保持しないで平和的に集まる権利を有し、国政団体及び地方行政団体に告知した上で会合、集会、行進、デモを行う権利を有す。この権利の行使に対する制限は、裁判所が法に従い国の安全保障、公的秩序に関する場合、混乱又は犯罪の抑止、人々の健康、人権及び自由の保護に基づき定める。
第40条 誰もが個々に又は集団で請願を書面で提出するか、又は個人的に政府及び地方自治体、その職員又は役人に請願する権利を有し、その請願は考慮及び法で定められた期間内に具体的な返答をされる義務を有す。
第41条 誰もがその財産を所有、使用及び処分する権利を有す。私有財産権は法に定められた手順で入手できる。法で定められた範囲内でのみ国民は、その必要を満たすために国及び共有の財産を利用できる。何人も不当に財産権を剥奪されない。私有財産権は不可侵である。私有財産権に基づく所有物の没収は、戒厳令下又は非常の場合に法に基づく手段により社会的に必要な場合にのみ適用され、前払いの条件の下でその価値に応じた十分な補償を行った上で行われる。財産の没収は、この場合、法の範囲内及び法に従った手順で、裁判所の決定によってのみ認められる。財産の使用で国民及び社会の権利、自由、尊厳を傷つけること、生態系及び土壌の質に負担をかけることはしてはいけない。
第42条 誰もが企業活動を行う権利を有し、法により禁じられることはない。議員、政府及び地方自治体の高官、公務員の企業活動は法により制限される。国は企業間競争の維持を保証する。独占市場の悪用、競争の違法制限、不当競争は認めない。独占の種類及び制限は法に定める。国は消費者の権利を保護し、製品及びあらゆるサービス、労働の質及び安全性を統制し、公的消費者団体の活動を促進する。
第43条 誰もが、自由に選択した又は自由に合意した労働により生計をたてることができる機会を含む、労働権を有す。国は、国民が労働権について十分に認知する機会、職業及び労働の種類の選択の機会均等を認知する機会、職業教育・訓練及び再訓練を社会の必要に応じて提供する機会をつくる。強制労働は禁ず。軍務又は非軍事的公務、判決又は裁判所の決定、戒厳令又は国の非常事態法に従う労働及び公務は、強制労働とはみなさない。誰もが安全で健康的な職場環境で働く権利、法で定められた最低賃金以上の賃金を得る権利を有す。女性及び未成年者をその健康に対し危険な職場への雇用を禁ず。国民は不当解雇されない。労働の報酬を遅延なく支払われる権利は、法により保証されている。
第44条 労働者は、その経済的・社会的利益の保護のためストライキを行う権利を有す。ストライキ権を行使する手順は法に定め、国家の安全、他人の自由・権利及び健康の保護に注意する必要がある。何人もストライキに参加するか否かを強制されない。ストライキの禁止は法に基づいてのみ可能である。
第45条 労働者は休暇を取る権利を有す。この権利は、特定の職業及び産業の最小労働日数及び夜間労働時間の削減を定めることで、週毎の休暇及び年次有給休暇を保証する。最大労働時間、最小休暇・年次有給休暇日数及びその他この権利を行使するための条件は、法に定める。
第46条 国民は、全部・一部又は一時的な障害、主要賃金労働者の喪失、自己責任ではない失業及び高齢を理由とした失業、その他の法に定める場合、社会保護を受ける権利を有す。この権利は、国民・企業・組織及び団体が皆加入の国の社会保険に保険料を支払っている場合、労働が行えないことを取り扱う国・地方自治体及び個人機関の組織網によって、予算及びその他社会保障財源から保証される。生存する上での収入源が年金及びその他社会保障・支援である者が、最低限度以上の生活水準を得られることは、法により保証されている。
第47条 誰もが居住権を有す。国は全国民が住居を財産として建設、購入、賃貸できる状況をつくる。社会保護下の国民は、国及び地方自治体が法により無償又は最低限の値段で住居を提供される。何人も、法に基づく裁判所の決定以外ではその住居を強制的に奪われない。
第48条 誰もが、十分な衣食住の下で、その人及びその家族が満たされた生活を営む権利を有す。
第49条 誰もが健康を維持し、医療を受け、医療保険に入る権利を有す。健康の維持は、社会経済、医療及び衛生、健康促進及び予防医療に関する予算で保証される。国は全ての国民がより良い医療サービスを受けられる環境を整える。国及び地方自治体の保健機関では、既存の保健機関の組織を縮小しないで無償診断を提供する。国はあらゆる形態での医療機関の発展を促進する。国は各種スポーツの発展を促進し、衛生福利の拡大を保証する。
第50条 誰もが安全な環境に生活及び健康がある権利を有し、この権利の侵害によって負った損害を賠償される権利を有す。誰もが環境状態・食料品及び消費物の質に関する情報を知る権利、その情報を知らせる権利を有す。何人もこれらに関する情報を秘密にしてはならない。
第51条 結婚は男女の自由な承諾の上に成り立つ。各配偶者は等しく結婚と家族に関する権利と義務を有す。両親はその子供が成年に達するまで養育する義務を負う。成年に達した子供は、その両親が働けない場合、それらを養う義務を負う。家族、子供、母親、父親の立場は国の保護下にある。
第52条 子供はその出生、嫡出子又は非嫡出子に関わらず等しい権利を有す。子供に対する暴力又はその利用は、法により罰せられる。孤児及び両親を失った子供の扶助及び教育は国が行う。国は子供対する慈善事業を促進し支援する。
第53条 誰もが教育を受ける権利を有す。中等教育が修了するまでが義務教育である。国は国立及び公立の幼稚園、初等・中等・高等・専門教育機関を無償で利用できること、幼稚園から大学卒業後及び課外授業の多様な教育法の発展、生徒及び学生への国の奨学金及び特権の提供を保証する。国民は試験により無償で国立及び公立の高等教育機関で教育を受ける権利を有す。この国における少数民族は、その固有の言語で教育を受ける権利、国立又は公立の教育機関、国立文化協会でその固有の言語を学ぶ権利を法により保証されている。
第54条 国民は、文学・芸術・科学及び技術創造の自由を有し、知的財産権・著作権・あらゆる知的活動により生まれる精神的又は物的利益を保護される権利を有す。誰もがその知的創造活動の成果を保護する権利を有し、法に定められた例外を除き、何人もその同意なくして利用及び配布はできない。国は科学の発展と、国際社会におけるウクライナの科学での関係を確立することを促進する。文化遺産は法により保護されている。国は歴史遺産及びその他文化的に価値のある物の保存を保証し、国外にある文化的国家遺産がウクライナに返還されるよう努める。
第55条 人権及び市民権、自由は裁判所で保護されている。誰もが裁判所の判決、政府及び地方自治体の役所及び公務員の活動又は怠慢に不服を申し立てられる。誰もがウクライナ最高議会人権委員会にその権利の保護を訴える権利を有す。全ての法的救済の利用後、誰もがその権利及び自由の保護を国際司法機関又はウクライナが加盟している国際組織に提訴できる。誰もが暴力及び法で禁じられている手段での違法な侵害から、その権利及び自由を保護する権利を有す。
第56条 誰もが政府及び地方自治体、その役所及び公務員の権威を盾にした違法な決定・活動又は怠慢により精神的及び物的被害を負えば、政府又は地方自治体の予算から賠償される権利を有す。
第57条 誰もがその権利及び義務を知る権利を有す。国民の権利及び義務を定める法及びその他の合法的条例は、法に基づいた手段で国民に知らされなければならない。国民の権利及び義務を定める法及びその他の合法的条例で、法に基づいた手段で国民に知らされていないものは、効力を有さない。
第58条 法及びその他の合法的条例は、人の責任を低減又は無くすことができる場合を除き、過去に遡って効力を有さない。何人も法において罪でなかった時に犯した罪については、責任を負わない。
第59条 誰もが法的支援を受ける権利を有す。その支援は、法に定められた場合には無償で提供される。誰もがその権利で弁護人を自由に選ぶことができる。ウクライナでは、弁護活動は提訴に対し弁護を行う場合、裁判所及びその他の国の機関の決定により提供される場合に認められる。
第60条 何人も明らかに犯罪である決定又は命令を義務付けられない。明らかに犯罪である決定又は命令を発布又は実行するには、法的責任を負う。
第61条 何人も同一の罪で二度裁かれることはない。個人の法的責任は、個々の品位に基づく。
第62条 人は、その罪が裁判所で立証されるか有罪判決を受けるまで、無罪であると考えられ、刑罰を受けない。何人も無罪であることの証明を義務付けられない。違法な手段で得られた証拠並びに仮定では告訴できない。犯罪の証拠と考えられる全ての証拠は、その人に有利なるよう証明される。裁判所の判決が不当判決である場合、国は根拠のない有罪判決で負った精神的及び物的損害に関して賠償を行う。
第63条 人は、証言又は自身及びその家族又は法で定める親等内の近親者について証言することを拒否することに責任を問われない。被疑者・被告人又は被告は弁護権を有す。有罪判決を受けた者は、法で定める又は裁判所が決定する例外を除き、全ての人権及び市民権を享受できる。
第64条 ウクライナ憲法に定められている例外を除き憲法上の人権及び市民権、自由は制限されない。戒厳令下又は国の非常事態の場合、権利及び自由の特定の制限は以下の制限に関する指示に従う。憲法第24、25、27、28、29、40、47、51、52、55、56、57、58、59、60、61、62、63条の各条は制限されない。
第65条 ウクライナの独立及び領土の不可分性からなる母国の防衛、国の象徴の尊重はウクライナ国民の義務である。国民は法に従い軍務に就く。
第66条 誰もが自然・文化遺産をいたわり、それに損害を与えれば賠償しなければならない。
第67条 誰もが法に定める範囲内及び手段で、納税の義務を有す。全国民は毎年、居住地及び前年の財産・収入に関する税監査の書類を法に従った手段で提出しなければならない。
第68条 誰もがウクライナ憲法及びウクライナの法を遵守する義務を有し、他人の権利及び自由、名誉及び尊厳を侵害してはならない。法の無知は法的責任の免除ではない。
第3章 選挙、国民投票
第69条 国民の意志は選挙、国民投票及びその他直接民主主義による制度により表明される。
第70条 選挙及び国民投票の当日に満18歳以上の者は、選挙及び国民投票の投票権を有す。裁判所で資格に値しないと判断された者は投票権を有さない。
第71条 政府及び地方自治体の選挙は無記名かつ自由及び普通、平等及び直接選挙で行われる。有権者は自由にその意志を表明できる。
第72条 ・国民投票はウクライナ最高議会又はウクライナ大統領が指示し、この憲法にその権限は定められている。国民投票は、国民投票開催請求の署名がウクライナの3分の2以上の州で、各州につき10万人以上集められた条件の下、300万人以上のウクライナ人有権者の国民発案により行われる。
第73条 ウクライナ領土の変更問題は国民投票のみで議決できる。
第74条 国民投票では税、予算及び恩赦に関する法案を扱えない。
第4章 ウクライナ最高議会
第75条 ウクライナにおける唯一の立法府は議会であるウクライナ最高議会のみである。
第76条 ウクライナ最高議会は、4年毎に無記名の普通・平等・直接選挙で選出される国会議員450名から構成される。選挙当日に満21歳以上かつ投票権を有す、ウクライナ領内に過去5年以上居住していた者は国会議員になる資格を有す。故意による罪を犯した者で、法に従った手段で罪を償っていない者は、ウクライナ最高議会の議員に選出されない。ウクライナの国会議員の権限は、憲法及びウクライナの法で定められている。
第77条 ウクライナ最高議会の通常選挙は、ウクライナ最高議会の会期の4年目の3月の最終日曜日に行われる。ウクライナ最高議会の補欠選挙は、ウクライナ大統領の指示により、ウクライナ最高議会の解散予定日の決定から60日以内に行われる。ウクライナの国会議員の選挙の管理手順は法に定める。
第78条 ウクライナの国会議員は恒久的な権限に基づき活動する。ウクライナの国会議員が、兼業及び行政機関に属することを禁ず。兼業を行う国会議員の職務遂行の禁止に関する条件は法に定める。
第79条 国会議員は、その公務に就く前に、ウクライナ最高議会の開会前に以下の宣誓を行う。「私はウクライナのために尽くすことを誓う。ウクライナの主権及び独立を維持するために、母国の利益のために、ウクライナ国民の福利のために私の全行動を奉げる。私は、ウクライナ憲法及びウクライナの法を遵守すること、全国民のために私の義務を遂行することを誓う。」宣誓は、新選出国会議員による最初の議会の開会式の前に、宣誓に賛同する全国会議員がその宣誓文に署名を終えた後に、最年長のウクライナ国会議員が読み上げる。宣誓への署名拒否は、国会議員資格の喪失を意味する。ウクライナ国会議員の任期は、宣誓に署名した時に始まる。
第80条 ウクライナ国会議員は議員特権を保証される。ウクライナ国会議員は、侮辱又は名誉棄損に対する責任の例外を除き、投票の結果又は議会及び議場での発言について法的責任を負わない。ウクライナ国会議員はウクライナ最高議会の同意なしに、刑事責任の問責、勾留又は逮捕されない。
第81条 ウクライナ国会議員の任期は、ウクライナ最高議会の会期の終了と同時に終了する。ウクライナ国会議員の任期は、以下の場合は任期満了以前に終了する。
1)辞意による辞任
2)法的効力のある有罪判決を受けた場合
3)裁判所にその職務不能又は職務意識の不在を申告された場合
4)市民権の喪失又は外国に永住する場合
5)議員自身が死亡した場合
ウクライナ国会議員の任期満了予定日の決定は、ウクライナ最高議会が憲法に基づいて決定する。国会議員の兼業による職務遂行の禁止に関する条件が適応される場合、ウクライナ国会議員の任期は、法に基づく裁判所の判決により、任期満了以前に終了する。
第82条 ウクライナ最高議会は、会期内に議事を行う。ウクライナ最高議会は、憲法に定められた定数の3分の2以上が選出されている状態で有効である。ウクライナ最高議会は、選挙結果が公示されてから30日以内に最初の議会が招集される。ウクライナ最高議会の最初の議会は、最年長のウクライナ国会議員により開会される。ウクライナ最高議会の開催手順は、ウクライナ憲法及びウクライナ最高議会の手順に関する規則に基づく法によって定める。
第83条 ウクライナ最高議会の通常国会は、毎年2月の最初の火曜日及び9月の最初の火曜日に始まる。ウクライナ最高議会の特別国会は、憲法に定める定員の3分の1以上のウクライナ国会議員又はウクライナ大統領の要求により、ウクライナ最高議会議長が招集する。戒厳令又は国の非常事態の採択の場合、ウクライナ最高議会は招集なしで2日以内に開催される。戒厳令下又は国の非常事態下にウクライナ最高議会の会期が終了する場合、戒厳令又は非常事態が取り消された後に選出されたウクライナ最高議会の最初の議会まで、その権限を維持することができる。
第84条 ウクライナ最高議会の議会は公開される。秘密議会は、憲法に定める定数の過半数のウクライナ国会議員の賛成により決議できる。ウクライナ最高議会の決議は、正式な議会でのみ投票により採択できる。ウクライナ最高議会の投票は、ウクライナ国会議員自身が行う。
第85条 ウクライナ最高議会の権限は次の通りである。
1)ウクライナ憲法の範囲内及び憲法第13章に定める手順における憲法の改正
2)憲法第73条に定められている国民投票の実施
3)法の採択
4)ウクライナ国家予算の執行を統制、その執行報告書の採択による、国家予算の修正及び認可
5)内政及び外交方針の決定
6)経済・科学及び技術に関する政策、社会的・国家的及び文化的発展に関する政策、環境保護に関する政策の認可
7)憲法が定める期間内のウクライナ大統領選挙の実施
8)ウクライナ大統領のウクライナの内政及び外交に関する教書の聴取
9)ウクライナ大統領の指示に従う宣戦布告及び講和条約の締結、ウクライナに対し武力攻撃が行われた際、ウクライナ大統領のウクライナ軍及びその他武装組織の行使の決定の承認
10)憲法第111条に定める特別な手段(弾劾)によるウクライナ大統領の解任
11)ウクライナ閣僚会議の活動方針の決定に関する考慮及び採択
12)ウクライナ大統領によるウクライナ首相の指名への同意
13)憲法に基づくウクライナ閣僚会議の活動の統御
14)外国及び国際組織へのウクライナによる借款及び経済支援の決議の承認、外国・銀行及び国際金融組織からのウクライナ国家予算に含まれない借款の決議、それらの執行に関する統御
15)憲法の定める場合に、人の官職への任命又は選出及び官職からの解任、官職への指名及び官職からの解任通知への同意
16)会計委員会の委員長及びその他委員の任命及び解任
17)人のウクライナの人権及び自由の遵守及び保護に関する年次報告を聞いた上で、その人のウクライナ最高議会人権委員会への任命及び解任
18)ウクライナ大統領の意見に基づき、国立ウクライナ銀行総裁の任命及び解任
19)国立ウクライナ銀行評議員の半数の任命及び解任
20)テレビ=ラジオ放送評議員の半数の任命及び解任
21)ウクライナ大統領の意見に基づく、中央選挙委員会の委員の任命と解任
22)軍司令官及び兵員数の承認、ウクライナ内務省及びウクライナの法に基づくウクライナ軍・ウクライナ国防軍及びその他武装組織の職務の区別
23)他国への軍事支援の提供、他国へのウクライナ軍部隊の派遣、他国の軍組織のウクライナ領内での活動を認可する決議
24)ウクライナ大統領による公正取引委員会委員長、国有財産基金委員長、ウクライナテレビ=ラジオ放送評議会委員長の任命及び解任への同意
25)ウクライナ大統領によるウクライナ法務長官の任命への同意、ウクライナ法務長官の解任を求める不信任決議の採択
26)ウクライナ憲法裁判所構成員の3分の1の任命
27)恒常の裁判官の選出
28)憲法裁判所によるウクライナ憲法又はウクライナの法がクリミア自治共和国最高議会により侵害されているという報告に基づく、クリミア自治共和国最高議会の任期満了以前の解散、クリミア自治共和国最高議会に補欠選挙の指示
29)行政区画の制定及び廃止、行政区画及び特別市の境界線の制定及び変更、都市への住人の割り当て、土地及び行政区画の命名及び再命名
30)地方自治体への通常及び補欠選挙の指示
31)ウクライナ大統領の宣言より2日以内の戒厳令及び国又は特定地域の非常事態の開始、完全又は部分動員の布告、自然災害地域の発表の承認
32)法が定める期間内でのウクライナが締結した国際法の承認、ウクライナの国際条約の破棄
33)憲法が定める範囲内での議会の統御
34)ウクライナ最高議会の定数の3分の1の国会議員の賛成に基づくウクライナ国会議員・議員連合又はウクライナ最高議会の委員会によるウクライナ大統領に対する問責決議
35)ウクライナ最高議会の職員長の指名及び解任、ウクライナ最高議会の予算及び職員組織の承認
36)私有財産化されない国有財産の一覧の承認、私有財産の没収に関する法的規則の制定
ウクライナ最高議会は、ウクライナ憲法に基づく権限によりその他の権力をも行使できる。
第86条 ウクライナ最高議会の議事において、ウクライナ国会議員はウクライナ最高議会、ウクライナ閣僚会議、その他国政組織長官、地方自治体及びウクライナ領内にある企業、機関及び組織の責任者に対し、従属及び所有の形態に関係なく質問を呈する権利を有す。国政組織長官、地方自治体及び企業、機関、組織の最高責任者は、ウクライナ国会議員による質問に対する考慮の結果を通知しなければならない。
第87条 憲法に示される定数の3分の1の国会議員の提議により、ウクライナ最高議会は憲法に定める定数の過半数の国会議員の賛成に基づき、ウクライナ閣僚会議の問責決議及びウクライナ閣僚会議の不信任決議を議決できる。ウクライナ閣僚会議に対する問責決議は、ウクライナ最高議会の1会期において1回のみ議事可能で、それはウクライナ閣僚会議の活動方針の承認後1年以内に行わなければならない。
第88条 ウクライナ最高議会は、その構成員の中からウクライナ最高議会議長、第一副議長及び副議長を互選し、召集する。ウクライナ最高議会議長は次の行為を行う。
1)ウクライナ最高議会の議事において議長を務める
2)ウクライナ最高議会の議事内容を整理する
3)ウクライナ最高議会の決議へ署名する
4)ウクライナのその他の国政機関及び外国政府との関係においてウクライナ最高議会を代表する
5)ウクライナ最高議会職員の職務を整理する
ウクライナ最高議会議長は、ウクライナ最高議会の手順に関する規則に従い、憲法に定められた権限を行使する。
第89条 ウクライナ最高議会はウクライナ最高議会委員会を取りまとめ、その委員長を選出する。ウクライナ最高議会委員会は、法案作成・立案を行い、ウクライナ最高議会で議事にかける法案に関して予備審査を行う。ウクライナ最高議会はその権限の範囲内で、立案及び法案の予備審査のために臨時特別委員会を組織できる。公共問題を調査するために、ウクライナ最高議会は憲法に定められた定数の3分の1以上の賛成により、臨時調査委員会を組織できる。臨時調査委員会の結論及び提案は、調査及び議会を決定付けるものではない。ウクライナ最高議会委員会及び臨時特別委員会、臨時調査委員会の組織及び運営方法は法によって定める。
第90条 ウクライナ最高議会の会期は、新規ウクライナ国会議員の最初の議会の開催日に終了する。ウクライナ大統領は、通常議会の後30日以内に本会議が開催されない場合、ウクライナ最高議会を任期満了以前に解散できる。ウクライナ大統領による前ウクライナ最高議会の解散で行われた補欠選挙で選出されたウクライナ最高議会は、選挙日から1年以内に解散になることはない。ウクライナ最高議会は、ウクライナ大統領の任期の最後の6カ月以内には、解散することはない。
第91条 ウクライナ最高議会は、この憲法が定める場合を除き、憲法に定める定数の過半数の賛成による多数決に従い、法及び決議、その他条例を採択する。
第92条 以下はウクライナの法においてのみ決定される。
1)人権、市民権及び自由、これらの権利及び自由の保証、国民の義務
2)市民権、国民の法的人格、外国人及び市民権を有さない者の地位
3)先住民及び多数派少数民族の権利
4)各種言語の使用の手続き
5)天然資源及び排他的経済水域・大陸棚の使用及び宇宙の探索に関する原則、電気及び運輸・通信システムの組織及び運営
6)社会保護、各種形態及び種類の年金給付、労働及び雇用・結婚・家族関する規則に関する方針、子供・母親・父親の立場の保護、早期教育及び教育・文化・健康の管理、生態の安全に関する方針
7)資産の法的管理
8)競争の原則及び独占禁止法という企業の法的原則及びその保証
9)外交、外国経済及び文化との関係に関する方針
10)人口統計及び移民処理の統制に関する原則
11)政党及び市民団体、マスメディアの設立及び活動に関する原則
12)行政組織、行政事務の基礎、国家統計情報組織の組織及び活動
13)ウクライナ領土の構成
14)司法制度、司法集団、裁判官の地位、法的専門知識、検察庁・質問及び調査機関・公証人・刑務所の組織及び運営、弁護活動及び組織の基礎
15)地方自治の原則
16)ウクライナの首都の地位、その他都市の特別な地位
17)国家保安の原則、ウクライナ軍の組織、公的秩序の保証
18)国境の法的管理
19)戒厳令、国家非常事態、生態的非常事態地域の法的管理
20)選挙及び国民投票の管理に関する組織及び手順
21)ウクライナ最高議会の組織及び運営手順、ウクライナ国会議員の地位
22) 犯罪、行政又は規律に関する罪及びそれらに関する責任による国民の法的責任の原則
以下はウクライナの法においてのみ定められる。
1)ウクライナ国家予算及び予算システム、税率・税及び徴税システム、財政・金融・信用・投資市場の形成及び運営方針、国家通貨及びウクライナ領内での外国通貨の地位、各種種類及び形態の国債の発行及び流通
2)他国にウクライナ軍を配備する手続き、ウクライナ領内に他国軍隊の駐留の承認及び条件の手続き
3)重量・分量及び時間の単位といった国家基準の制定の手順
4)国家の象徴の使用及び保護の手順
5)国家の勲章
6)軍隊階級、外交官及びその他の特別階級
7)国の休日
8)一般の体制とは異なる経済及び移住の自由及び特別区域の設立及び機能の手順
恩赦はウクライナの法に従い公表される。
第93条 ウクライナ最高議会の立法の発議権は、ウクライナ大統領、ウクライナ国会議員、ウクライナ閣僚会議、国立ウクライナ銀行が有す。ウクライナ大統領により優先発議を行う必要があると認められた法案は、ウクライナ最高議会において優先的に発議される。
第94条 ウクライナ最高議会議長は法案に署名し、それを即座にウクライナ大統領に手渡す。法案の受領後15日以内にウクライナ大統領は、その法を執行するための署名及び公布を行うか、ウクライナ最高議会に差し戻し再審議を行わせる。法に定められた期間内にウクライナ大統領が法案を差し戻し、再審議させない場合、その法案はウクライナ大統領に承認されたとみなし、ウクライナ大統領によって署名及び公布される。再審議において法案が憲法に定めるウクライナ最高議会の定数の3分の2以上の国会議員の賛成により可決された場合、ウクライナ大統領は10日以内に署名し、公布しなければならない。その法自身に示されていない限り、法はその公布日から10日後に施行される。
第95条 ウクライナの予算案は、国民及び国内の地方自治体の間での、公正かつ公平な社会財産の分配の法則に基づく。社会的必要に対する支出の範囲及び目的は、ウクライナ国家予算案に関する法によってのみ定められる。国は均衡予算であることを望む。ウクライナ国家予算の収支に関する定期報告は、公表されなければならない。
第96条 ウクライナ国家予算は毎年1月1日から12月31日の期間に、特別な状況下では状況に応じた期間に、ウクライナ最高議会において承認される。ウクライナ閣僚会議は、遅くとも毎年9月15日までにウクライナ最高議会に翌年度のウクライナ国家予算案を提出しなければならない。その年度の予算執行報告は、予算案と共に提出される。
第97条 ウクライナ閣僚会議は法に基づき、ウクライナ国家予算執行報告をウクライナ最高議会に提出する。提出された報告は公表される。
第98条 会計委員会がウクライナ最高議会に代わり、ウクライナ国家予算の財源の運用を統御する。
第99条 ウクライナの通貨単位はフリヴニャである。通貨単位を安定させることが、中央銀行つまり国立ウクライナ銀行の主要な機能である。
第100条 国立ウクライナ銀行評議会は、金融及び信用の基本原則を作り上げ、その施行の統御を行う。国立ウクライナ銀行評議会の公的地位は法に定める。
第101条 ウクライナ最高議会人権委員会は、憲法に基づく人権、市民権及び自由の遵守からなる議会運営を行う。
第5章 ウクライナ大統領
第102条 ウクライナ大統領は国の最高責任者で、その名の下に行動する。ウクライナ大統領は国の主権及び領土の不可分性に対する保証人であり、ウクライナ憲法、人権、市民権及び自由の保護者である。
第103条 ウクライナ大統領は5年の任期で、無記名の普通・平等・直接選挙で、ウクライナ国民により選出される。満35歳以上で、投票権を有し、選挙日から過去10年間ウクライナに居住し、ウクライナ語を使用する者は、ウクライナ大統領への被選挙権を有す。2期以上連続して同一の人物が大統領になることはできない。ウクライナ大統領は代理人、政府組織又は市民団体と同一の建物にある事務所を有さず、その他被雇用者及び雇用者、営利目的の団体の役員及び管理委員であってはいけない。ウクライナ大統領の通常選挙はウクライナ大統領の任期の5年目の10月最終日曜日に行われる。ウクライナ大統領の任期が任期満了以前に終了した場合、ウクライナ大統領選挙は任期終了日から90日以内に行われる。ウクライナ大統領選挙実施の手順は、法によって定める。
第104条 新たに選出されたウクライナ大統領は、選挙結果の公表の後、ウクライナ最高議会で宣誓を行った時点から30日以内に職を引き継ぐ。ウクライナ憲法裁判所裁判長はウクライナ大統領に宣誓を行わせる。ウクライナ大統領は以下の宣誓を行う。「私、(姓名)は国民の意志によりウクライナ大統領に選ばれ、この最高職を引き受け、ウクライナに対する厳粛な忠誠を誓う。私は、全ての同胞のための職務を遂行するために、ウクライナの威信を高めるために、身命を賭しウクライナの主権及び独立を保護し、ウクライナ国民に素晴らしい祖国及び福祉を提供し、人権及び市民権を保証し、ウクライナ憲法及びウクライナの法を遵守する。」補欠選挙で選出されたウクライナ大統領は、選挙結果の公表後5日以内に宣誓を行う。
第105条 ウクライナ大統領は任期中に起訴されることはない。ウクライナ大統領の名誉と尊厳を傷つけた者は、法により裁かれる。ウクライナ大統領は、弾劾により免職されない限り、大統領の職は保証され、人生においてその肩書がなくなることはない。
第106条 ウクライナ大統領の権限は次の通りである。
1)国家の独立、国家の安全及び法的継承の保証
2)ウクライナ内外の状況に関する国民及びウクライナ最高議会への年次及び特別教書の演説
3)国際関係においての国の代表、国家の対外政策を管理、会談及びウクライナの国際条約の締結
4)外国の承認
5)他国及び国際機関へ派遣する外交使節団団長の任命及び解任、外国の外交代表団の解任に関する文書の受理
6)この憲法の第156条に示される憲法改正に関する国民投票の指示、国民発案による国民投票の宣言
7)憲法に定められた期間内での補欠選挙の開催をウクライナ最高議会に指示
8)本会議が通常議会の後30日以内に召集されない場合のウクライナ最高議会の解散
9)ウクライナ最高議会の同意に基づくウクライナ首相の任命、ウクライナ首相の任期の終了及びその辞任に関する決定の受理
10)ウクライナ首相の指名に基づくウクライナ閣僚会議の任命、他の行政組織の長官の任命、地方行政団体の長の任命、及びこれらの解任
11)ウクライナ最高議会の同意に基づく法務長官の任命及びその解任
12)国立ウクライナ銀行評議員の半数の任命
13)テレビ=ラジオ放送評議員の半数の任命
14)ウクライナ最高議会の同意の基づく公正取引委員会委員長、国有財産基金委員長、ウクライナテレビ=ラジオ放送評議会委員長の解任
15)ウクライナ首相の同意による省庁及びその他中央行政組織の行政組織の維持に関する予算内での設立、改組及び廃止
16)ウクライナ閣僚会議及びクリミア自治共和国閣僚会議の決議の無効化
17)ウクライナ軍最高司令官として、ウクライナ軍及びその他軍事組織の最高司令部の任命及び解任、国家の安全及び領土保全の管
18)ウクライナ国家安全保障・国防委員会の指揮
19)戦時宣言のウクライナ最高議会への提案、ウクライナに対する武力攻撃の場合のウクライナ軍の使用の決議の採択
20)ウクライナの国家の独立を脅かす武力攻撃の場合、法に基づく全部又は部分動員及びウクライナ又は特定地域に対する戒厳令の導入に関する決議の採択
21)必要に応じてウクライナ又は特定地域の非常事態の決議の採択、必要に応じてウクライナ最高議会の決議以降の特定地域に対する生態的非常地帯の宣言
22)ウクライナ憲法裁判所の構成員の3分の1の任命
23)法に定められた手順に基づく裁判所の開設
24)軍の高位、外交及びその他の高位、上位階級の授与
25)大統領の区分に基づく国家勲章の授与
26)ウクライナ国籍の承認及びウクライナ国籍の終了に関する決定、ウクライナへの亡命者保護の決定の承認
27)恩赦の容認
28)ウクライナ国家予算で定められた範囲内での大統領の職務を支える諮問組織の設立
29)ウクライナ最高議会によって採択された法への署名
30)ウクライナ最高議会で再審議された法案に対する拒否権の行使
31)ウクライナ憲法に定めるその他権限の行使
ウクライナ大統領はその権限を他人及び団体に移譲することはできない。ウクライナ大統領は、ウクライナ憲法とウクライナの法に基づき、ウクライナ領内に大統領令を出す。ウクライナ大統領の権限で、この条の第3、4、5、8、10、14、15、17、18、21、22、23及び24項に示される権限の行使には、ウクライナ首相の連帯署名が必要で、首相がその権限の執行に責任を負う。
第107条 ウクライナ国家安全保障・国防委員会は、国家安全保障及び国防に関してウクライナ大統領と同格である。ウクライナ国家安全保障・国防委員会は、国家安全保障及び国防に関する範囲で行政活動を調整し統御する。ウクライナ大統領はウクライナ国家安全保障・国防委員会の委員長である。ウクライナ大統領が個人的にウクライナ国家安全保障・国防委員会を組織する。ウクライナ首相、ウクライナ国防大臣、ウクライナ内務大臣、ウクライナ外務大臣は職務上ウクライナ国家安全保障・国防委員会の構成員である。ウクライナ最高議会議長はウクライナ国家安全保障・国防委員会に参加する。ウクライナ国家安全保障・国防委員会の決議は、ウクライナ大統領の大統領令により効力を有す。ウクライナ国家安全保障・国防委員会の権限及び職務は法に定める。
第108条 ウクライナ大統領は、新選出のウクライナ大統領にその職を引き継ぐまで、その権限を行使できる。ウクライナ大統領の任期は次の場合任期満了以前に終了する。
1)辞任
2)健康上の理由による職務不能
3)弾劾による解任
4)死亡
第109条 ウクライナ大統領の辞任は、大統領がウクライナ最高議会において辞意を表明した時に、効力を有す。
第110条 ウクライナ大統領の健康上の理由による職務不能は、医師の診断及びウクライナ最高議会の訴えに基づくウクライナ最高裁判所の判断に基づき、ウクライナ最高議会で憲法に定める定数の過半数の賛成により議決される。
第111条 ウクライナ大統領が国家反逆罪又はその他罪を犯した場合、ウクライナ大統領は弾劾により解任される。ウクライナ大統領の弾劾による解任は、ウクライナ最高議会の憲法に定める定数の過半数の議員の発案により審議される。調査を実行するためにウクライナ最高議会は特別弁護士及び特別調査官を含む特別臨時調査委員会を設立する。特別臨時調査委員会の結論及び提案はウクライナ最高議会で審議される。ウクライナ最高議会の憲法に定める定数の3分の2以上の賛成によりウクライナ大統領に対する告訴を決議できる。ウクライナ大統領の弾劾による解任は、ウクライナ憲法裁判所の判決及び弾劾に関する調査・考察を行った憲法弁護士の意見、ウクライナ大統領が告訴されている国家反逆罪又はその他犯罪に関するウクライナ最高裁判所の意見を考慮した上で、ウクライナ最高議会が憲法に定めた定数の4分の3以上の賛成で採択できる。
第112条 この憲法の第108、109、110及び111条に基づきウクライナ大統領の任期が任期満了以前に終了した場合、ウクライナ大統領の権限は、新たに大統領が選出されるまで、ウクライナ首相が行使できる。ウクライナ首相がウクライナ大統領の権限を引き継いでいる間、この憲法の第106条第2、6、8、10、11、12、14、15、16、22、25及び27項に関する権限は行使できない
第6章 ウクライナ閣僚会議、その他行政組織
第113条 ウクライナ閣僚会議は行政における最高機関である。ウクライナ閣僚会議はウクライナ大統領に対し責任を負い、ウクライナ憲法第85及び87条の範囲内でウクライナ最高議会に統御され、ウクライナ最高議会に対し説明責任を負う。ウクライナ閣僚会議の権限は憲法、ウクライナの法、ウクライナ大統領令によって示される。
第114条 ウクライナ閣僚会議は、ウクライナ首相、第一副首相を含む3人の副首相及び各大臣から成る。ウクライナ首相は、ウクライナ最高議会の憲法に定める定数の過半数の賛成による同意に基づき、ウクライナ大統領が任命する。ウクライナ閣僚会議に属する各大臣は、ウクライナ首相の指名に基づき、ウクライナ大統領が任命する。ウクライナ首相はウクライナ閣僚会議を統御し、ウクライナ最高議会により採択されたウクライナ閣僚会議活動要項の実施を指示する。ウクライナ首相は、ウクライナ大統領が省庁及びその他行政組織を行政組織の維持に関する予算内で設立、改組及び廃止することに同意する。
第115条 ウクライナ大統領が新たに選出された場合、ウクライナ閣僚会議は解散しなければならない。ウクライナ首相及びウクライナ閣僚会議の各大臣は、ウクライナ大統領に対し辞意を表明する権利を有す。ウクライナ首相の辞任は、ウクライナ閣僚会議の解散となる。ウクライナ最高議会でウクライナ閣僚会議不信任決議がなされれば、ウクライナ閣僚会議は解散する。大統領に解散を認められたウクライナ閣僚会議は、新たにウクライナ閣僚会議が組閣されるまで、ウクライナ大統領から移譲された権限を行使できるが、その日数は60日を超えることはない。ウクライナ首相は、ウクライナ大統領の決定又はウクライナ最高議会による閣僚会議不信任決議に基づく辞任声明をウクライナ大統領に提出しなければならない。
第116条 ウクライナ閣僚会議の権限は次の通りである。
1)ウクライナの主権及び経済的独立の保証、国内外の政策の実施、ウクライナ憲法・ウクライナの法・ウクライナ大統領令の実施
2)人権、市民権及び自由の保証
3)労働、雇用、社会保障、教育、科学及び文化、環境保護、生態系の保全、環境利用に関する財政、投資及び徴税政策の実施
4)経済、科学技術、ウクライナの社会的・文化的発展に関する国策の作成及び実施
5)全ての形態での所有の等しい保証、国家資産の管理
6)ウクライナ国家予算案の作成、ウクライナ最高議会により承認されたウクライナ国家予算案の実施及びその実施に関する報告書のウクライナ最高議会への提出
7)ウクライナの防衛及び安全、公共秩序、犯罪抑止の保証
8)貿易及び税関の設立及び保証
9)省庁及びその他行政組織の管理及び調整
10)ウクライナ憲法、ウクライナの法、ウクライナ大統領令に定められるその他権限の行使
第117条 ウクライナ閣僚会議は、その権限の範囲内で、法執行のための決議及び命令を行う。ウクライナ閣僚会議令は、ウクライナ首相に署名され効力を有す。ウクライナ閣僚会議、各省庁及びその他行政組織の合法命令は、法に定められた手順により記録される。
第118条 州及び地区、キエフ及びセヴァストポリ特別市の行政権は、地方州行政体により行使される。キエフ及びセヴァストポリ特別市の行政権が行使できる特定の状況は、ウクライナの特別法に定める。地方行政体の組織構造は、地方州行政体長官が定める。地方州行政体長官は、ウクライナ閣僚会議の同意に基づきウクライナ大統領が任命及び解任する。地方州行政体長官は、その権限の行使に関しウクライナ大統領及びウクライナ閣僚会議に対し責任を負い、より高位の行政組織に統御され説明責任を負う。地方州行政体は、その権限の一部を移譲する各州又は地方議会に統御され説明責任を負う。地方州行政体は、より高位の行政組織に統御され説明責任を負う。憲法、ウクライナの法及びその他ウクライナの合法的条例に反する地方州行政体長官の決定は、法に基づきウクライナ大統領又はより高位の行政組織により無効にされる。各州及び地区議会は、大統領の承認及び立証された返答に基づき、地方州行政体長官に対し不信任を表明できる。州又は地区議会の定数の3分の2以上の議員による地方州行政体長官の不信任決議が、ウクライナ大統領による地方自治体長官の解任を決定させる。
第119条 地方州行政体は次のことを保証する。
1)憲法、ウクライナの法、ウクライナ大統領令、ウクライナ閣僚会議令及びその他行政組織の条例の実施
2)国民の自由及び法令の遵守
3)国及び地方の社会経済及び文化的発展に関する政策、環境保護政策、先住民及び少数民族の居住地でのその社会的・文化的発展に関する政策の実施
4)各州及び地区予算の用意及び実施
5)各州及び地区の予算及び政策の実施に関する報告
6)地方自治体との相互作用
7)国から受理した権限及び議会から移譲されている権限の行使
第120条 ウクライナ閣僚会議構成員及び中央及び地方行政組織の長官は、労働時間外での教育的、学究的及び創造的活動以外の他の職業を兼業すること、又は営利目的の団体の役員及び監理委員になることはできない。ウクライナ閣僚会議、その他中央及び地方行政組織の組織、権限及び統御手順は憲法及びウクライナの法に定める。
第7章 検察庁
第121条 ウクライナの検察庁は次のことを統一された手順で行う。
1)国に代わっての法廷への起訴
2)法に定められた国民又は国の利益の法廷への陳情
3)事件の調査及び取り調べの法令遵守の監視
4)刑事事件に司法決定を下す際、及び国民個人の自由の抑圧の適用に関する法令遵守の監視
第122条 ウクライナの検察庁は、ウクライナ最高議会の同意に基づきウクライナ大統領が任命及び解任する、ウクライナ法務長官の下にある。ウクライナ最高議会は、ウクライナ法務長官の解任を求めて不信任決議を行うことができる。ウクライナ法務長官の任期は5年である。
第123条 ウクライナ検察官委員会の組織及び運営上の手順は法に定める。
第8章 司法
第124条 ウクライナの司法は裁判所が司る。裁判所の権限の移譲、及びその他組織又は役所がこの権限を行使することはできない。裁判所の司法権はウクライナ全土で適用される。司法処分は憲法裁判所及び各裁判所で行われる。国民は監査人及び陪審員として直接司法に携わる。司法処分はウクライナの名の下に、ウクライナ全土で執行される。
第125条 ウクライナの司法組織は、領域内の原則及び専門職の原則に成り立つ。ウクライナ最高裁判所は、司法組織の最高位の機関である。各高等裁判所は専門裁判所の最高位の機関である。上級裁判所及び地方裁判所は法に従い運営される。臨時裁判所及び特別裁判所の設置は認めない。
第126条 裁判官の独立及び免責は、憲法及びウクライナの法で認められている。いかなる手段でも裁判官に影響を与えることを禁ず。有罪の判決が裁判所で下されるまで、裁判官はウクライナ最高議会の同意なしに、勾留又は逮捕されない。ウクライナ最高裁判所の裁判官を除き、裁判官は永久職であり、裁判官は最初に判事に任命される。裁判官は次の場合、裁判官を選出又は任命した機関に解任される。
1)選出又は任命された任期の終了
2)65歳に達した場合
3)健康上の理由による職務遂行不能
4)職能の不足
5)宣誓への違反
6)裁判官自身への有罪の確定
7)市民権の終了
8)裁判官自身の行方不明又は死亡宣告
9)裁判官自身による辞表の提出
裁判官の任期は、その死亡により終了する。国は裁判官及びその家族の安全を保証する。
第127条 司法は専門の裁判官、及び法に定められた場合、国民の監査人及び裁判員から運営される。専門の裁判官の政党及び労働組合への所属、いかなる政治活動への参加、代理人の保持、その他雇用職にあること、その他教育的、学究的及び創造的活動を除く有償の業務を行うことを禁ず。25歳以上で、高等教育を受け、合法的な職歴が3年以上あり、10年以上ウクライナに居住し、ウクライナ語を使用する国民は、裁判員資格取得委員会により裁判員の職に推薦され得る。専門裁判所の裁判官たる特別教育を受けた者は、専門裁判所の裁判官となり得る。これらの裁判官は、裁判官委員会の構成員として司法を運営する。それらの経験、年齢及び専門教育内容に関する必要条件の特定の区分は法に定める。裁判官の影響力の保護は、法に定められた手順により行使される。
第128条 専門裁判官の最初の5年間の任期への指名はウクライナ大統領が行う。前記及びウクライナ憲法裁判所裁判官を除く他の全ての裁判官は、法に基づく手順に従い、ウクライナ最高議会により永久職に選出される。ウクライナ最高裁判所裁判長は、法に基づく手段によるウクライナ最高裁判所裁判官の本会議における無記名投票により、選出及び解任される。
第129条 司法の運営において、裁判官は独立し法にのみ基づく。司法手続きは、1人の裁判官により、審査委員会又は陪審の法廷で行われる。司法手続きの主な原則は、次の通りである。
1)合法
2)法の下に平等な裁判及び全員参加の法廷
3)罪意識の証明の保証
4)弁護活動、裁判官への証拠の提出及び裁判官の前での証拠品の重要度の説明の自由
5)国に代わっての検察による起訴
6)被告人の弁護権の保証
7)裁判の公開及びその完全な記録
8)法に定めた場合を除き、裁判所の判決に対する上訴及び破棄による不服の保証
9)判決の絶対性
特定の司法権を有す裁判所でのその他司法手続きに関して法に定める。法廷侮辱罪又は裁判官侮辱罪を犯した者は、法的責任を負う。
第130条 国は裁判所運営及び司法活動のための予算及び十分な環境を保証する。裁判所維持予算は、ウクライナ国家予算案とは別に割り当てられている。裁判官の自主管理により裁判所内の問題は取り扱う。
第131条 ウクライナ司法上部委員会の権限は次の通りである。
1)裁判官の任命及び解任に関する同意の提出
2)裁判官及び弁護士の職務遂行不能に関する決議の採択
3)ウクライナ最高裁判所裁判官及び高等専門裁判所裁判官の懲戒手続きの行使、上訴裁判所、地方裁判所及び弁護士の懲戒の決定
司法上部会議は20人で構成される。ウクライナ最高議会、ウクライナ大統領、ウクライナ裁判官委員会、ウクライナ検察官委員会、高等法律教育機関代表、科学機関代表から各々3名の代表、全ウクライナ雇用者会議の2名弁護士が司法上部会議を構成する。ウクライナ裁判所議長、ウクライナ法務大臣、ウクライナ法務長官は職務上司法上部会議の構成員である。
第9章 ウクライナ領土
第132条 ウクライナ領土は、国土の統一及び不可分性の原則、中央集権及び地方分権の組合せの原則、地方の歴史、経済、生態、地理及び統計特徴、民族的及び文化的伝統を考慮した調和のとれた社会経済開発に基づく。
第133条 ウクライナ領土及び地方行政体は、クリミア自治共和国、州、地区、市、町、村からなる。ウクライナは、クリミア自治共和国、ヴィーンヌィツャ州、ヴォルィーニ州、ドニプロペトロウシク州、ドネツィク州、ジトームィル州、ザカルパッチャ州、ザポリージャ州、イヴァーノ=フランキーウシク州、キエフ州、キロヴォフラード州、ルハンシク州、リヴィヴ州、ムィコラーイウ州、オデッサ州、ポルタヴァ州、リヴネ州、スムィ州、テルノーピリ州、ハルキウ州、ヘルソン州、フメリヌィツィクィイ州、チェルカースィ州、チェルニウツィー州、チェルニーヒウ州、キエフ特別市及びセヴァストポリ特別市からなる。キエフ特別市及びセヴァストポリ特別市は、ウクライナの法に定められた特別な地位を有す。
第10章 クリミア自治共和国
第134条 クリミア自治共和国は、ウクライナを構成する不可分の領土であるのと同時に、ウクライナ憲法が定める範囲内で自治を行う。
第135条 クリミア自治共和国は、クリミア自治共和国最高議会で採択され、ウクライナ最高議会の憲法に定める定数の過半数の賛成により承認された、クリミア自治共和国憲法を有す。合法なクリミア自治共和国最高議会の政令及びクリミア自治共和国閣僚会議の決議は、ウクライナ憲法及びウクライナの法に反することはなく、ウクライナ憲法、ウクライナの法、ウクライナ大統領令、ウクライナ閣僚会議令に基づき採択及び執行される。
第136条 クリミア自治共和国最高議会は、その権限の範囲内で、クリミア自治共和国を代表する。クリミア自治共和国最高議会の決定及び決議は、クリミア自治共和国内でのみ執行される。クリミア自治共和国閣僚会議は、クリミア自治共和国の政府である。クリミア自治共和国閣僚会議議長は、ウクライナ大統領の同意に基づき、クリミア自治共和国最高議会が任命及び解任する。クリミア自治共和国最高議会及びクリミア自治共和国閣僚会議の権限、構成及び運営の手順は、ウクライナ憲法及びウクライナの法、クリミア自治共和国最高議会の合法的政令により定める。クリミア自治共和国の司法制度は、ウクライナの司法制度と統一された制度で行う。
第137条 クリミア自治共和国は次に関して統制を行う。
1)農業及び林業
2)開墾及び鉱業
3)公共事業、商工業、慈善事業
4)都市計画及び住宅管理
5)旅行業、宿泊業、市場
6)博物館、図書館、映画館、その他文化施設、歴史文化保護区
7)公共交通、道路、水道
8)狩猟及び漁業
9)衛生及び医療
ウクライナ憲法及びウクライナの法に反するクリミア自治共和国最高議会令は、ウクライナ大統領がウクライナ憲法裁判所に起訴すると同時に施行を保留させる。
第138条 クリミア自治共和国の権限は次の通りである。
1)クリミア自治共和国最高議会議員の選挙の実施、クリミア自治共和国選挙管理委員会の構成の承認
2)住民投票の運営及び管理
3)クリミア自治共和国に属する資産の管理
4)ウクライナの一様な徴税及び予算案に基づく、クリミア自治共和国予算案の作成、承認及び実施
5)国策に基づく社会経済及び文化的発展、自然利用及び環境保護に関する政策の作成、承認及び実施
6)行楽地の設立、行楽地衛生保護地区の設立
7)国民の自由、国家の調和、法的秩序及び治安の保証
8)クリミア自治共和国の言語及びウクライナ語及び文化の運用及び発展の保証、歴史遺産の保護及び運用
9)追放された民族の帰還に関する政策の発展及び遂行
10)クリミア自治共和国又は特定地域への非常地帯宣言及び生態系危険地帯の発令
その他のクリミア自治共和国の権限は、ウクライナの法に定める。
第139条 ウクライナの法に地位を定められているウクライナ大統領府は、クリミア自治共和国を管理する。
第11章 地方自治
第140条 地方自治は、村、郡、町、市が憲法及びウクライナの法の範囲内で、各自の領内で自治を行う権利である。キエフ特別市及びセヴァストポリ特別市の自治権行使に関する特定の状況はウクライナの特別な法に定める。地方自治は、法に定められた手順で地方自治体により直接、市町村議会及びその行政組織が行う。州及び地区議会は、領内の市町村の利益を代表する地方自治政府である。都市の行政は市議会に属する。市町村議会は、その権限、予算及び資産の範囲内で住民発案に基づく住居、道路、建物及びその他自治組織を認可及び設立する。
第141条 市町村議会議員は、市町村民の無記名かつ普通、平等の直接選挙により4年の任期で選出された議員からなる。市町村議会議長である市町村長は、市町村民の無記名かつ普通、平等の直接選挙により4年の任期で選出される。市町村長、市町村議会議員及び地方行政組織の地位及び権限、その設立、再編及び廃止の手順は法に定める。州議会議長及び地区議会議長は各議会により選出され、各議会職員を指導する。
第142条 地方自治体領内に存在する地方予算の歳入、その他財源、土地、天然資源といった可変及び不可変の資源及び財源は市町村が所有し、それらの資産は州及び地区もまた管理する。合意に基づき、市町村は公共財及び予算を公共事業及び公共団体、組織及び機関がより良い組織及びサービスを提供できるように融資できる。国は地方予算の財政及び財政支援に加担できる。国の行政組織の決定により生じる地方自治体の歳出は、国が補填する。
第143条 市町村は、直接又はそれらにより設立された地方行政組織を通し、それらが所有する資産の管理、社会経済及び文化的発展に関する政策の承認・統御及び実施、各自治体予算案の承認・統御及び実施、法の範囲内での地方税の設立及び徴税、住民投票の管理及び実施、公共事業・組織・機関の設立・再編及び廃止とその統御、その他法に定める範囲内での自治を行う。州議会及び地区議会は、各州及び各地区の社会経済及び文化的発展に関する政策の承認・統御及び実施、地方自治体へ交付した国家予算・共同事業実施のための予算・社会経済及び文化的発展に関する政策の実施のための予算からなる州及び地方予算案の承認・統御及び実施、その他法に定める範囲内での自治を行う。特定の行政権は、法に基づき地方自治体に移譲する。ウクライナ国家予算に基づく、国家予算から地方予算への交付分の地方自治体による徴税、地方自治体に関係する国家資産を法に基づく手順に従い地方自治体に移譲する。地方自治体の行政権の範囲内における諸問題は、地方行政組織が取り扱う。
第144条 法に定められた範囲内の地方自治体の決定は、その領域内でのみ効力を有す。ウクライナ憲法及びウクライナの法に反する地方自治体の決定は、法に従った手段により停止されると同時に、裁判所に起訴される。
第145条 地方自治権は、司法により保護されている。
第146条 その他の地方行政組織の権限、構造、運営及び責任は法に定める。
第12章 ウクライナ憲法裁判所
第147条 ウクライナ憲法裁判所は、ウクライナで唯一の憲法管理組織である。ウクライナ憲法裁判所は、法及びその他合法的命令がウクライナ憲法に則しているかを決定し、ウクライナ憲法及びウクライナの法の公的見解を下す。
第148条 ウクライナ憲法裁判所は18人のウクライナ憲法裁判所裁判官からなる。ウクライナ大統領、ウクライナ最高議会、ウクライナ裁判官委員会が各6名をウクライナ憲法裁判所裁判官に任命する。任命の日に、満40歳以上で、高等法律教育を受け、10年以上の職歴を有し、過去20年ウクライナに居住し、ウクライナ語を使用する国民は、ウクライナ憲法裁判所裁判官となり得る。ウクライナ憲法裁判所裁判官は、9年間の任期で任命され、再任命されることはない。ウクライナ憲法裁判所裁判長、ウクライナ憲法裁判所裁判官の中から、ウクライナ憲法裁判所本会議において、3年の任期で選出される。
第149条 ウクライナ憲法裁判所裁判官は、独立及び免責であり、この憲法の第126条に基づきその職から解任され、憲法第127条に基づきその職務遂行不能を決定される。
第150条 ウクライナ憲法裁判所の権限は次の通りである。
1)次の物をウクライナ憲法に則り決定する
ウクライナ大統領令
ウクライナ閣僚会議令
クリミア自治共和国最高議会の合法的条例
これらはウクライナ大統領、45人以上のウクライナ国会議員、ウクライナ最高裁判所、ウクライナ最高議会人権委員会、クリミア自治共和国最高議会により起訴される。
2)ウクライナ憲法及びウクライナの法の公的見解
この条で定めるウクライナ憲法裁判所の決定は、ウクライナ国内で執行され、最終かつ不起訴のものである。
第151条 ウクライナ大統領又はウクライナ閣僚会議による起訴を受けているウクライナ憲法裁判所は、ウクライナ憲法及び有効なウクライナ国際条約、ウクライナ最高議会に批准されるよう提出されている国際条約に基づき、その意見を提供する。ウクライナ最高議会による起訴を受けているウクライナ憲法裁判所は、憲法に基づく調査及びウクライナ大統領の弾劾による解任に関する考慮を提供する。
第152条 ウクライナ憲法に違反している、又はウクライナ憲法を冒涜するような審議、採択又は発効の可能性がある場合、その法及びその他合法的条例は、ウクライナ憲法裁判所が全体的又は部分的に違憲性を考慮し、決定を下す。法及びその他合法的条例又はその中の別個の条項は、ウクライナ憲法裁判所により違憲性を審議され、違憲と決定された場合、その日に失効する。違憲性のある決議又は決定により肉体的及び精神的に負った物的又は精神的損害は、法に従った手段により国が補償する。
第153条 ウクライナ憲法裁判所の組織及び運営・審議手順は法に定める。
第13章 ウクライナ憲法改正手順
第154条 ウクライナ憲法改正案は、ウクライナ大統領又は憲法に定める定数の3分の1以上のウクライナ国会議員により、ウクライナ最高議会に提出される。
第155条 第1章「基本条理」第3章「選挙、国民投票」及び第13章「ウクライナ憲法改正手順」を除くウクライナ憲法改正案は、ウクライナ最高議会の憲法に定める定数の過半数の賛成により採択を考慮され、次のウクライナ最高議会通常国会でウクライナ最高議会の憲法に定める定数の3分の2以上の賛成をもって採択される。
第156条 第1章「基本条理」第3章「選挙、国民投票」及び第13章「ウクライナ憲法改正手順」を除くウクライナ憲法改正案は、ウクライナ大統領又はウクライナ最高議会の憲法に定める定数の3分の2以上の国会議員により、ウクライナ最高議会に提出され、ウクライナ最高議会の憲法に定める定数の3分の2以上の賛成で採択され、ウクライナ大統領の指揮する国民投票で承認される。第1章「基本条理」第3章「選挙、国民投票」及び第13章「ウクライナ憲法改正手順」を除くウクライナ憲法改正案の同一内容での再審議は、次のウクライナ最高議会本会議においてのみ可能である。
第157条 人権、市民権および自由を廃止又は制限する、又はウクライナの独立を廃止又はウクライナの領土の不可分性を冒涜するようなウクライナ憲法の改正は禁ず。戒厳令下又は国の非常事態下でのウクライナ憲法の改正はできない。
第158条 ウクライナ最高議会で審議され否決されたウクライナ憲法改正案は、その否決の日から1年以内にウクライナ最高議会に再提出されることはない。ウクライナ最高議会はその任期内に二度同じ憲法条項を改正できない。
第159条 ウクライナ憲法改正案は、ウクライナ憲法裁判所のこの憲法第157、158条に適しているかの意見に基づき、ウクライナ最高議会が審議する。
第14章 雑則
第160条 ウクライナ憲法は、採択された当日から有効である。
第161条 ウクライナ憲法が採択された日は、国民の祝日「ウクライナ憲法記念日」である。
第15章 経過規定
1.この憲法が効力を有す以前に採択された法及びその他合法的条例は、ウクライナ憲法に反して効力を有さない。
2.ウクライナ憲法の採択後に、ウクライナ最高議会はこの憲法に示される権限を行使できる。ウクライナ最高議会の通常選挙は1998年5月に行われる。
3.ウクライナ大統領の通常選挙は1999年10月の最終日曜日に行われる。
4.ウクライナ憲法が効力を有してから3年以内にウクライナ大統領は、法に規定されていない経済に関する政策を、ウクライナ首相の署名の下、ウクライナ閣僚会議の承認により定める権利を有し、同時にこの憲法93条に従いウクライナ最高議会に各法案を提出する。ウクライナ大統領により上記の法案が提出されてから会期中を除く30日以内ならば、ウクライナ最高議会は多数決において採択又は否決することなく、ウクライナ最高議会によるこれに関する新法案が有効になるまで、効力を有す。
5.ウクライナ閣僚会議は、この憲法に従い、この憲法が有効になってから3ヶ月以内に組織される。
6.ウクライナ憲法裁判所は、この憲法に従い、この憲法が有効になってから3ヶ月以内に組織される。ウクライナ憲法裁判所の開設に以前は、ウクライナ最高議会の法解釈が有効である。
7.有効なこの憲法に基づく地方自治体長は、各議会議長の選挙後、各議会に辞表を提出するまで、憲法118条に基づき地方自治体長の地位を得る。
8.有効なこの憲法に基づく市町村議会及びその議長は、1998年5月に新たな議会構成が選出されるまで、憲法に定められた権限を行使する。この憲法が有効になる以前の州及び地区議会は、ウクライナ憲法に基づく新たな議会構成が選出されるまで、憲法に定められた権限を行使する。有効なこの憲法に基づく市議会及びその議長は、法に従いその権限を行使する。
9.検察庁は、国家組織の法令遵守に関する法が有効になり、公判前手続きに関する制度が構築され、それに関する法が有効になるまでの、有効な法に従う、法令遵守及び適応の監視機関、及び予備調査機関である。
10.憲法第118条に基づくキエフ及びセヴァストポリ特別市の行政権を行使できる特定の状況に関する法が適用される以前は、その行政権は各特別市行政により行使される。
11.この憲法の第99条第1項は、国の通貨フリヴニャが導入された後、有効になる。
12.ウクライナ最高裁判所及びウクライナ高等仲裁裁判所は、ウクライナに統一された司法制度が構築されるまでの5年以内の期間、この憲法第125条に基づき、ウクライナ立法に従い、その権限を行使する。この憲法が有効になる以前に選出又は任命されたウクライナの全裁判所の裁判官は、その選出又は任命された任期が満了するまで、法に定められた権限を行使できる。憲法が有効になる当日に任期を満了する裁判官は、その任期をその後1年間延長する。
13.この憲法が有効になる以前に犯罪の容疑で拘留、逮捕、抑留される手続きにある者、及びその住居又はその所有物を調査・試験される手続きにある者は、この憲法が有効になった後5年間は猶予される。
14.他国の軍隊が一時的に駐留しているウクライナ領内の軍事基地の使用は、ウクライナ最高議会により批准された国際条約に定める、租借期間内で可能である。
公式英訳を和訳。
ウクライナ語の憲法のみが正文である。